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臨床

視覚系

AMD(age-related macular degeneration)とカロテノイド、VA、VC、VEについて評価。方法はThe multicenter Eye Disease Case-Control Studyにより、米国の眼科センター5ヶ所で実施。被対象患者は、55-80才の各センターの近くに住む人々で、一年以内に進行段階のAMDと診断された者356名。対照者は同様な地域の他の眼疾患を持つもので年齢的にも相当する520名。喫煙、他のリスク因子、摂食指標からの抗酸化状態の多変量解析でAMDの相対的リスクを推定した。 結果:高カロテノイド摂食はAMDリスクを低減した。ルテインやゼアキサンチンを含む緑色野菜が最もAMDリスクを低減させた。VAは関連が見られず、VE、VCのリスク低減効果は有意差が見られなかった。しかし、食物からの高VC摂取は、リスク低減の可能性がある(アスタキサンチンは評価対象になっていない) 1) 。疫学的に血中のカロテノイドや抗酸化ビタミン濃度の低い喫煙者は、AMDのリスクが高いことが示されている。実験的にも光吸収による酸化障害から、カロテノイドや抗酸化ビタミンは網膜を保護することが示している。霊長類の網膜には、ルテインとゼアキサンチンが網膜色素として存在し、窩(fovea)の中心で最も密で周囲に行くに従い急速に薄くなる。網膜にはVEも存在する。カロテノイドや抗酸化ビタミンは網膜やAMDに関与する網膜色素上皮で変性過程を遅延させるのに役立っているようである2)。加齢性白内障と血中カロテノイド・VEの関連を50-86才の400人で調査(the Beaver Dam Eye Study)。VEのみ関連が見られた。カロテノイドは有意な関連が見られなかった 3) 。ルテイン摂取の視機能:視力、中央視野、色素性網膜炎(RP)での自覚障害、関連する網膜変性等への効果調査をインターネットで実施。16名(RP:13名、網膜変性:3名)はルテイン26週摂取(40 mg/日 9週、それ以後20 mg/日);10名は500-mg docosahexaenoic acid (DHA)/日、複合VB、消化酵素を摂取。10名は以前にVAまたはβ-カロテンを摂取していたので試験期間中も継続摂取。視力はコンピュータ上で自己測定、中央視野は14週まで毎週、以後隔週測定。視力は0.7改善、中央視野は0.35改善。2-4週後から改善が見られた。視力改善は眼色に依存し、7名の青眼は1.2、7名の黒眼では0.3であった。以前より補助食品を摂取していた者の方が中央視野改善で効果あり(0.55)(摂取なしは効果が見られなかった)。年令、性別、疾患度に有意差なし。以前ADMに見られたようにRPでもルテイン摂取が短期間で視機能を改善。特に青眼で効果的、VAは視野改善に効果が期待される 4) 。アスタキサンチンの視機能や筋肉疲労に関する二重盲験(実薬・プラセボ) 5) で、6mgアスタキサンチンカプセル1錠/日、4週間摂取させた。摂取前後に於ける静止視力・動体視力には変化なかったが、深視力は実験(摂取)群が対照群に比べ優れていた。フリッカー値は実験群が対照群に比べて有意に視覚が鋭敏化していた。アスタキサンチンのVDT作業者の調節力、中心フリッカー値、パターン視覚誘導電位に及ぼす影響を調べた試験 6) で、アスタキサンチン一日5mg・4週間内服させた前後で、有意な調節力改善(p<0.01)が認められた。しかし、中心フリッカー値、パターン視覚誘発電位は変化しなかった。VDT作業者は、非作業者に比べ調節力、中心フリッカー値低下していたことは他の報告と同様であった。アスタキサンチンの視機能への影響を、40歳以上の健康人で検索した7)。全例を年齢と性別が同じように4群に分け、それぞれに1日1回、0mg、2mg、4mg、12mgのアスタキサンチンを28日間服用させた。4mg群、12mg群で遠見裸眼視力が有意に改善した。4mg群と12mg群では調節緊張時間が有意に短縮した。屈折値、フリッカー融合頻度、瞳孔反応には変化がなかった。VDT作業などの従事時間が、平均1日7時間前後の者を被験者としたアスタキサンチンの調節機能および疲れ眼に対する摂取量設定試験 8) が行われ、アスタキサンチン6mg/日摂取以上の群で、調節緊張速度が有意に上昇し、自覚症状の改善効果がみられた項目が多かった。アスタキサンチンの摂取量は1日量6mg以上が妥当であると考えられた。さらに調節機能および疲れ眼に対する効果の確認試験 9) にても、アスタキサンチンを1日量6mg摂取することによる、調節力と疲れ眼に対する自覚症状の改善効果が確認された。また安全性でも、摂取に関連する変化は認められなかった。



皮膚
アスタキサンチンがヒト皮膚をUVB照射後の色素沈着を有意に抑制した 1) 。日焼け紅班に対する経口摂取VE、β-カロテンの効果を、カロテノイド群(総カロテノイド25mg/日)、カロテノイド+VE併用群(総カロテノイド25mg/日+335mg(500IU)RRR-α-トコフェロール/日)、それぞれ12週間摂取で試験。人工太陽で日焼けさせた。血清・皮膚のVE、β-カロテンは摂取で上昇し、背中の日焼け紅班は8週間で有意に減少し(p<0.01)、カロテノイド単独より併用でより効果が見られた。抗酸化物の摂取は日焼け紅班抑制に効果がある 2) 。UVA (320-400nm)とUVB (290-320nm) は、皮膚のがんや日焼け紅班を誘導する。男女各11名の試験で、初めの8週間は30mgの天然カロテノイド(29.4mgβ-カロテンと0.36mgα-カロテン)を摂取させ、8週間ごとに30mg増量し、24週で90mgまで増量させた。1cm2の皮膚をUV光(16-42 mJ/ cm2)にて照射して最小紅班照射量(MED)を決定。カロテノイド摂取でMEDが上昇(p<0.05)。血清β-カロテンも24週で0.22(95% CI; 0.16-0.27)から1.72(95% CI;1.61-1.83)μg/mlへ上昇。α-カロテンも0.07 (95% CI;0.048-0.092)から0.36 (95% CI; 0.32-0.40)μg/mlへ上昇。血清脂質過酸化は用量依存的に有意に抑制された(p<0.05)。カロテノイドの摂取は、日焼け紅班を中程度に抑制する 3) 。アスタキサンチンの美肌効果試験で、まず、皮膚に対する安全性は、ヒト皮膚でのパッチテストで異常は認められず、反復塗布試験でも異常が認められなかった。ヒト二重盲験法でアスタキサンチンとトコトリエノール配合健康補助食品と両者を除いた対照食品を用いて効果を比較したところ、肌水分量(目尻)、視診、触診(クマ、滑らかさ、しっとりさ、はりの良さ) 及び自己診断(シミ、ソバカス、ニキビ、フキデモノ)いずれも有意な改善を見た。アスタキサンチンには美肌効果があることを示唆していた 4)


運動系
アスタキサンチン摂取(6mg/日・4週間)後における運動後2分の血中乳酸濃度は、有意に低値であった。同時に測定した心拍数には差が無かった1)。男性19人健常人に対して、アスタキサンチン(5mgカプセル)(10人)とプラセボカプセル(9人)をそれぞれ2週間投与。4週間の休薬期間後クロスオーバーし同様に試験。三段階の持久性運動負荷 (30%、50%、70% Hrmax)にて全身性疲労を惹起させた。アスタキサンチン群で70%Hrmax運動時の呼気ガス分析値、血圧、心拍数で有意差が認められた。運動負荷中の心拍変動スペクトルで、交感神経活動(LF/HF比)にも有意差が認められた。運動負荷中の呼吸・循環系機能の増加や交感神経系活動の促進が見られた。血液測定値から、エネルギー産生代謝機能も活性化していた。アスタキサンチンの投与は一過性の運動性疲労からの回復効果を示し、抗疲労能の向上と抗酸化機能の促進を示唆した 2)


その他試験
健常成人男性20名を用いて、シングルブラインド法にてヘナトコッカス藻アスタキサンチン6mg/日・10日間反復摂取の血液流動性に与える影響を検討した1)。平均年齢は、摂取群で57.5±9.8才、プラセボ群で50.8±13.1才であった。血液流動性はヘパリン添加血液を試料とし、MC-FANを用いて測定した。アスタキサンチン摂取群で血液流動性は52.85±4.9秒→47.6±4.2秒と有意に(p=0.05)減少していた。また、摂取後の摂取群とプラセボ群の比較でも、摂取群47.6±4.2秒に対してプラセボ群54.2±6.7秒と有意差(p=0.05)が認められ、アスタキサンチン摂取による血液流動性の改善が認められた。網膜血流量測定の試験 2) で、被験者36名を二群に無作為に分けアスタキサンチン群(6mg/日・4週間)と対照群(プラセボ)を比較。摂取前後に問診、眼圧測定、網膜血流量測定などの眼科的検査、その他の検査を実施した。網膜血流量は、レーザードップラー網膜血流計(Heidelberg Retina Flowmeter)にて測定。血漿中アスタキサンチン濃度はLC/MS法にて測定。結果:1.網膜血流量は、摂取群で摂取後241±35(右眼)、238±34(左眼)で、両眼とも摂取前と比べ有意(P<0.01)に増加。増加率は、摂取群で、右眼9.2%、左眼9.0%であったのに対し、プラセボ群では、右眼2.5%、左眼2.7%で、摂取群はプラセボ群と比べ両眼とも有意(P<0.01)な増加率上昇が見られた。プラセボ群では、摂取前後で変化が無かった。平均眼圧は、両群で変化が無かった。血漿アスタキサンチン濃度は、摂取群で摂取前0.2±0.78ng/mL、2週後27.9±10.25ng/mL、4週後35.6±12.64ng/mLと経日的に漸増した。一方、プラセボ群は、期間を通じて2.0ng/mL前後であった。アスタキサンチンの網膜血流量改善作用が、調節力改善に関与している可能性がある。また、乳頭周囲の血流量を増加させることが明らかとなり、緑内障の治療効果の可能性が示唆された。

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