天然アスタキサンチン   天然アスタキサンチン
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基礎

視覚系

カロテノイド類が目を光障害から保護する可能性についての総説 1) 2)

ラットにおける試験で目の光障害にアスタキサンチンは有効であった。目に光ストレスを与えた後の回復に対する影響を検討したところ、網膜の外顆粒層の厚さやロドプシンの減少を測定して障害よりの回復を比較すると、アスタキサンチン投与群は対照群に比べ効果が見られた。BBB(blood-retineal brain barrier)通過試験では、総アスタキサンチン37.5mg/kg体重をラットへip(12時間間隔で6回)投与し、最終投与後6時間目の網膜におけるアスタキサンチン濃度は0.17μg/mg湿重量であった 3)。ヒト網膜の黒班にはルテインとゼアキサンチンが高濃度に存在し、特異的キサントフィル結合蛋白により安定化されている。ヒト黒班と周辺網膜より同蛋白を精製。精製蛋白は25kDaと55kDaよりなり、精製行程でルテインとゼアキサンチンは蛋白と挙動をともにした。ヒト黒班色素のスペクトルと得られた蛋白のスペクトルは一致していた。ルテインとゼアキサンチンのスペクトルから10nm深色シフトしていた。カンタキサンチン、β-カロテンとは結合しない。結合は特異的で、キサントフィル結合蛋白が網膜と黒班に初めて存在をすることを示した 4)

アスタキサンチンの抗酸化作用に着目し、ラットにおけるエンドトキシン誘発ブドウ膜炎(EIU)に対する作用を試験。アスタキサンチンが用量依存的にEIUの発症を抑制した。100 mg/kg アスタキサンチンの抗炎症効果は10 mg/kg プレドニソロンと同程度であった。また、in vitroのRAW264.7細胞を用いた系で NOの生成、NOS活性、PGE2産生、TNF-αの産生等を用量依存的に抑制した 5)



免疫・アレルギー
自己免疫系MRL-lpr/lprマウスにアスタキサンチンを混餌投与した時、無投与のマウスで発症するリンパ節症やタンパク尿の症状を抑制し、治療効果が期待された 1)。正常マウスと自己免疫系マウスでアスタキサンチンの効果を試験。In vitroで、T-細胞依存性抗原で抗体産生が増強されたが、非依存性の抗原では増強が見られず総免疫グロブリンの産生も増強しなかった。MRLとNZBの自己免疫系マウスでは、アスタキサンチンの作用は小さい 2)。アスタキサンチンの免疫増強効果は、B6マウスリンパ球培養系でT-細胞依存性抗体産生を増大。In vivoでもルテイン、アスタキサンチン、β-カロテン等により抗体産生が増強された。また抗原刺激した時にIgMとIgG産生細胞数も増加した。その効果は、老齢マウスの方が若年マウスより低下していた 3)。アスタキサンチンは、T-依存性抗原(Ag)特異的液性免疫応答を増強する。再構築実験で直接的T-ヘルパー細胞(Th)活性へのカロテノイドの作用を試験したところ、脾Th細胞を抗原特異的Type 1とType 2 (Th1とTh2) Th細胞クローンで置き換えた。Th1とTh2クローンの抗原は、ハトCyt C とウサギγ-グロブリンを使用。アスタキサンチンは、非感作B細胞と半最適濃度の特異抗原で刺激したThクローンを培養系でIgM-Ab産生細胞数を増加させた。両Thクローン中のIgG-Ab産生細胞数は、非感作B細胞よりin vivo感作B細胞による方が多かった。カロテノイドは、最適レベルの抗原関与の免疫応答維持に有用と思われる 4)。成人および新生児臍帯血より採取した末梢血単核球(PBMNC)の細胞培養で免疫Ig産生を増強した。アスタキサンチンは、T-依存性抗原(T-dependent Ag)とT-依存性ポリクロナル刺激剤(T-dependent polyclonal simulant)の反応系でIgMの産生を増強した。また抗原刺激でIgGの産生も増強した。IgAの産生はカロテノイド非存在下で見られずカロテノイド添加で有意に高くなった。IgMとIgA産生増強は、アスタキサンチン濃度10-8mol/lで見られた。IgG産生は10-10-10-9mol/lで増強した。アスタキサンチンによるIgM産生増強は臍帯血PBMNCでも見られたが成人PBMNCの産生量より少なかった PWM(ブタクサ有糸分裂原物質、B細胞の分裂を誘発する)、S.aureus、TNP-LPS(ニトロフェノール修飾リポ多糖類)、TNP-KLM(ニトロフェノール修飾キーホール・リンペト(keyhol impet)ヘモシアニン)、破傷風毒素などの刺激でいずれの場合もアスタキサンチンがβ-カロテンよりIgM産生を高めた 5)。アスタキサンチンは、げっ歯類でもT-細胞依存性抗体産生を増強する。げっ歯類Th1クローン細胞によるIFN-γ生成を抑制する。β-カロテンはアスタキサンチンより作用が弱い。Th1, Th2クローンとしてA.E7とCDC35細胞を用いた試験で、Th1クローンではアスタキサンチンが他のカロテノイドと異なりIFN-γ産生を抑制し、抗原刺激膵細胞を用いた時Ab分泌細胞数を増加させた。非抗原刺激膵細胞とTh1の培養でアスタキサンチンとゼアキサンチンはAgM分泌細胞数を増加させ、抗原刺激膵細胞とTh2の培養ではアスタキサンチンのみAb分泌細胞数を増加させた。リコペンは、非抗原刺激膵細胞でTh2によるAb産生を抑制した。Th2によるIL-5の産生には影響が見られなかった。カロテノイドのTh細胞への作用はそれぞれで異なるようである 6) 。胃粘膜のT-リンパ球がIFN-γを産生し粘膜の炎症、障害を増強するものと考えられている。H.ピロリ感染ラットにアスタキサンチンを含む藻体を投与すると炎症と細菌数を抑制した。免疫系がIFN-γが関与するTh1反応性からIFN-γとIL-4が関与するTh1/Th2反応性へT-リンパ球の応答がシフトしていた 7)。喘息の新しい薬理学的治療法の検討で、血小板活性化因子受容体アンタゴニストginkgolide B(GB)とアスタキサンチンの併用効果を抗ヒスタミン剤: cetirizine dihydrochloride(CTZ)やazelastine(AZE)と比較した。喘息患者の末梢単球を50 μg/mlフィトヘマグルチニン(PHA)またはPHA+各濃度の薬品で24時間培養してからflow cytometry評価したところ、アスタキサンチンとGB組み合わせが抑制を示した。GB、アスタキサンチン、その併用それぞれの最大T細胞活性化抑制は同等であり、ある組み合わせはCTZやAZEのそれより良好であった。アスタキサンチンとGBが抗喘息剤として応用の可能性を示唆していた 8)


がんに関連する作用
IRCマウスに膀胱がんを誘発するN-ブチル-N(4-ハイドロキシブチル)ニトロサミン(OH-BBN)を投与する発がん実験で、アスタキサンチン混餌投与が膀胱における前腫瘍部、腫瘍部が明らかに小さくしていた 1)。 F334ラットで4-ニトロキノリン1-オキサイド(4-NQO)による口腔がん発がん試験でもアスタキサンチン混餌投与で、発がんを抑制、非病変的扁平上皮部での細胞増殖も減少した。また、口腔粘膜組織のポリアミン量も抑制した 2)。同様にF334ラットでアゾキシメタン(AOM)による大腸がん発がん試験でもアスタキサンチンは抑制効果が見られた 3)。P450誘導性カロテノイド(カンタキサンチン、アスタキサンチン、β-アポ-8'-カロテナール)や3-methyl-cholanthreneは、アフラトキシンB1(AFB1)のがん原性を減少させた 4) 。また毒性の低い代謝物M1へ変換し、AFB1によるDNA単鎖切断も減少した。カロテノイドは解毒的な効果がある。 肝前がん状態細胞の塊 (foci) の数と大きさを減少させた。AFB1のDNAやアルブミンへの結合も抑制した。疫学的にがんリスクは緑、赤野菜や果物の摂取と関連することを示す。動物実験でα-カロテンがβ-カロテンより強い制がん作用を示した。ルテイン、ゼアキサンチン、リコペン、フィトエン、フコキサンチン、ペリジニン、アスタキサンチンを試験。フコキサンチン、ペリジニンに制がん活性を見出した。また、フィトエン生合成哺乳類細胞をcrtB遺伝子導入で作成した。この細胞は活性化がん遺伝子での形質転換に対して抵抗性であった 5) 。WAZ-2Tがん細胞(1X106)を移植したBALB/cマウスに各種カロテノイドを混餌投与した結果、アスタキサンチンが最も強くがん細胞増殖を抑制した。0、0.1、0.4%の β-カロテン、アスタキサンチン、カンタキサンチン混餌で3週間飼育後がん細胞移植し45日後に測定。血中濃度はアスタキサンチン(20 - 28μmol/l)が、β-カロテン(0.1 - 0.2μmol/l)やカンタキサンチン(3 - 6mmol/l)に比べて有意に高値を示した。一方、がん組織中ではカンタキサンチン(4.9 - 6.0nmol/g)がβ-カロテン(0.2 - 0.5nmol/g)やアスタキサンチン(1.2 - 2.7nmol/g)に比べて高値を示した。がん組織中の脂質過酸化活性は0.4%アスタキサンチン群で他のカロテノイド群より有意に低下していた 6) 。同じくBALB/cマウスにMeth-A細胞(T-細胞依存がん抗原発現性がん細胞)(3X105 細胞、3回移植)を移植した試験でがん組織の大きさを抑制し、IFN-γ産生の増加も見られた 7) 。肺がん細胞MCF-7に於いてカロテノイドはbcl-2遺伝子のmRNAの発現を阻害するが、β-カロテン、リコペンが最も阻害作用が強く続いてゼアキサンチン、アスタキサンチンであった。これらはアポトシスは誘導しなかった。60μMリコペンがG(2)/M期で、60μM ゼアキサンチンがG(0)/G(1)期で細胞周期を阻止した 8)


血圧・脂質・動脈硬化
0.1%アスタキサンチン、β-カロテン、カンタキサンチンを含む餌でウイスターラットを30日間飼育。血漿コレステロール値は、カンタキサンチン(49.7±6.6mg/dl)群では変化なかったが、カンタキサンチン(92.1±3.6mg/dl)群とアスタキサンチン(66.5±5.1mg/dl)群で上昇が見られた。上昇はHDL区分にあった 1) 。 アテローマ性班の性質は、肉眼的大きさの問題ではなく崩壊しやすさや血栓形成に関る。脂質の性質、コラーゲン、メタロプロテアーゼの発現、マクロファージ、アポトーシス、班の完全さなどの変化に注目して、コレステロール、動脈硬化、高脂血症の研究に用いられるWHHLウサギを用いてアスタキサンチンとα-トコフェロールを評価した。対照群、 500 mgα-トコフェロール/kg 混餌群、100 mgアスタキサンチン/kg混餌群の3群で 24週間飼育。アスタキサンチン群は有意に班内のマクロファージ浸潤を脂質の蓄積に関係無しに抑制した。コラーゲンと平滑筋細胞などから生成した班は初期班であった。マクロファージ内での基質性メタロプロテアーゼ3の発現、班破裂に関連する班の安定性、アポトーシスをいずれの抗酸化剤も有意に改善。班の大きさや脂質蓄積は、抗酸化剤に関りなく対照と同程度あった。抗酸化剤の新たな抗動脈硬化作用である 2) 。サクシニルアスタキサンチン(Cardax)iv投与のラットの心筋梗塞モデルでの評価。Cardaxを25, 50, 75 mg/kgそれぞれ4日間投与し5日目に狭心症実験をした。主狭窄量(IS)と障害部位(AAR)の比は59+/-3%であった。Cardax の50と75 mg/kg、4日間投与でIS/AAR比が 35 +/- 3% (41% salvage)と26 +/- 2% (56% salvage)に減少した。これらの大きさは再還流時の血漿中のアスタキサンチン濃度に依存していた。アスタキサンチンによる前処置は、心筋梗塞を低減する可能性を示していた 3) 。アスタキサンチンの14日間経口摂取させた高血圧性SHRラットの動脈血圧が有意に低下した。アスタキサンチン(50 mg/kg)・5週間の長期摂取で 、脳卒中易発症ラット(SHR-SP)の血圧が低下した。また、脳卒中発症も低下した。作用機序は、NO関連と示唆された。アスタキサンチンは、虚血マウスで神経保護作用も示した。高血圧、脳卒中、血管性痴呆を予防する効果が期待される 4)


抗炎症
ビタミンE欠ラットのミトコンドリアの脂質過酸化をアスタキサンチンはin vivo、in vitroいずれでも抑制した。また、赤血球のリン脂質の成分変性も抑制し、カラゲニンによる炎症反応も阻害した1)。アスタキサンチンを1日に0.01-1mg/kg体重投与のヒトや哺乳類の乳腺炎に治療効果があると報告されている 2) 。アスタキサンチンは、ラットのエンドトキシン誘発ブドウ膜炎(EIU)を用量依存的に発症抑制した。100 mg/kg アスタキサンチンの抗炎症効果は、10 mg/kg プレドニソロンと同程度であった。また、in vitroのRAW264.7細胞を用いた系で NOの生成、NOS活性、PGE2産生、TNF-αの産生等を用量依存的に抑制した 3) 。アスタキサンチンのin vitro及びin vivoでのNOとプロスタグランジンE2 (PGE2)生成の制御に関連して、誘導性NO合成酵素(iNOS)、サイクロオキシゲナーゼ-2、TNF-α、IL-1βの発現に対する影響を検討。アスタキサンチンは、これら前炎症メディエータの発現や形成を、またLPS刺激のRAW264.7細胞やマクロファージのサイトカイン生成を阻害した。アスタキサンチン投与マウスで、血清中 NO, PGE2, TNF-α, IL-1βレベルを抑制し、LPS刺激RAW264.7細胞にて iNOS プロモーター活性と同時に NF-κB活性化を阻害した。また、H2O2誘導によるNF-κB活性化とiNOS発現と同様にLPS刺激RAW264.7細胞における細胞間の活性酸素蓄積も抑制した。さらに、アスタキサンチンは IκB kinase (IKK)活性への阻害効果と関連するIκBαの破壊とNF-κB p65 subunitの核への移動とを阻止した。これらの結果は、多分アスタキサンチンの抗酸化活性によると思われるが、アスタキサンチンがNF-κB活性化の阻止による炎症メディエータ形成阻害と引き続くIKK活性とIκB-α分解を抑制することを示唆する 4)


抗ピロリ
マウスを用いH. pylori菌に対する抗感染、抗炎症作用実験で、H. pylori投与後2週のBALB/cAマウスにアスタキサンチン(0.4、2、4g/kg体重)を1回/日経口投与した。1日と10日目に菌数と炎症測定し、いずれにも効果が見られた 1) 。 6週間にわたりH. pyloriを感染させたDunkin-Hartley guinea pigsへSeとVA、VC、VEの組み合わせの群でH. pyloriが分離され動物は17%で、対照群の43%より低い値を示した。胃潰瘍指数はそれぞれ0.33と0.93であった。VCのみの群、アスタキサンチンのみの群では効果は少なかった。二回目の実験ではSeとVA、VC、VE、β-カロテン群の胃潰瘍指数は2.25で対照群のそれは2.57、H. pylori 回収はそれぞれ75%、100%であった。アスタキサンチン群ではコロニー数が減少していた(P<0.05)。結論として抗酸化物の組み合わせが感染に対し防御効果期待された 2) 。胃粘膜のT-リンパ球がIFN-γを産生し粘膜の炎症、障害を増強するものと考えられている。H. pylori 感染ラットにアスタキサンチンを含む藻体を投与すると炎症と細菌を抑制した。免疫系がIFN-γが関与するTh1反応性からIFN-γとIL-4が関与するTh1/Th2反応性へT-リンパ球の応答がシフトしていた 3)


糖尿
Wister系ラットをストレプトゾトシンで糖尿病を誘発し、アスタキサンチン100ppm添加の飼料で飼育すると、糖尿病で併発する白内障の抑制効果が認められた 1) 。 高血糖で誘導される酸化ストレスは、糖尿患者の膵β細胞の機能障害や種々の組織での障害を引き起こす可能性がある。II型糖尿病モデルのC57BL/KsJ-db/db 糖尿マウスとdb/mマウスを対照として実験した。db/db糖尿マウスの血糖値は対照db/mにくらべ高値を示していたが、アスタキサンチン投与で有意に低下した。糖負荷試験でインスリン分泌能は、アスタキサンチン処理群で保持されていた。β細胞の量は処置群と対照群で差がなかった。アスタキサンチンは、糖尿病においてβ細胞の機能維持に働いていることを示していた。抗酸化剤はグルコース毒性を軽減するのに有効と思われた 2) 。酸化的ストレスは糖尿性腎症と強く関連する。db/dbマウスの実験で、アスタキサンチン12週投与で、糸球体間質/全糸球体比から求めた糸球体間質領域は処置群で改善、尿アルブミンおよび尿8-OHdGの上昇が処置群で抑制されていた。抗8-OHdG抗体で染色される細胞も減少した。アスタキサンチンの長期投与は糖尿性腎症の進行を抑制した 3)


皮膚
アスタキサンチンがヒト皮膚をUVB照射した後の色素沈着を有意に抑制した 1) 。太陽光(UVAとB)は皮膚の光老化を引き起こす。食品中のカロテノイド類が、この老化を抑制すること、ひいては皮膚がん発生を抑制することが知られている。ヘアレスマウスSKH1を用いた実験で、VA欠群へUV照射でオルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)活性が有意に上昇。レチノール単独の保護効果よりβ-カロテン、アスタキサンチンを添加した場合の方が保護作用あり。ポリアミン類では照射後プトレシンがVA欠群の皮膚でODC活性の上昇と平行に増加していた。アスタキサンチンがプトレシン蓄積をレチノールよりも強く阻害し、スペルミヂン、スペルミン濃度を減少させた。トランスグルタミナーゼへの特異的作用が考えられる 2) 。ヒト細胞に対するUVの障害をβ-カロテン、α-トコフェロール、VCが保護する。ヒト線維芽細胞をUVA照射した場合、抗酸化剤とβ-カロテンとの組み合わせが相乗的な効果を示したのに、UVB照射の場合は相加的であった3)。ラット腎繊維芽細胞にUVA光を5.6mW/cm2・4時間照射して光ストレスを与えると、カタラーゼ、SOD活性が低下しチオバルビタール酸反応物質が増加した。細胞障害は見られなかった。この系で、β-カロテン(1μM)、ルテイン(1μM)、アスタキサンチン(10nM)が光ストレスを防御した 4) 。合成アスタキサンチンは、UVAで引き起こされるDNA損傷をヒト皮膚線維芽細胞(1BR-3)、ヒト黒色腫細胞(HEMAc)、ヒト小腸CaCo-2細胞で損傷を防いだ。10 nM、100 nM、1mMで効果を示した。藻抽出アスタキサンチンは10mMで効果が見られた。1BR-3細胞ではUVAの2時間照射でSOD活性が有意に減少、GSH含量も減少するが、合成及び藻アスタキサンチン10mMと前培養するとこれらの減少を抑制した。CaCo-2細胞ではUVA照射によるGSH減少をアスタキサンチンは抑制したがSOD活性には変化がなかった 5)


運動系
拘束ストレスマウスの実験系でアスタキサンチンの投与により(5.1mg/kg/day、3日間連続経口投与)胸腺重量低下抑制、肝過酸化脂質上昇抑制、がん転移促進の抑制等ストレスの影響を低減する作用が認められた 1) 。ラットにアスタキサンチン(100mg/kg混餌)投与後の臓器分布は、筋肉:35μg/kg、心臓:70μg/kgであった。馬にアスタキサンチンを与えた(100mg/頭;約500kg/日)ところ筋肉損傷が有意に改善され(競馬などて筋肉に損傷を受けた時)、ヒト(4mg/日、6月間)でも筋肉の牽引/耐久力を改善した 2) 。C57BL/6マウスのはい腹筋と心筋で、運動ストレス負荷による酸化障害に対するアスタキサンチン摂取の影響をみた試験で、対照群、運動負荷群、運動負荷+アスタキサンチン(3週間投与)群の3群比較で、両負荷群のはい腹筋と心筋の4-hydroxy-2-nonena修飾タンパクと8-OHdGはアスタキサンチン群で少なかった。運動負荷による血清CKとmyeloperoxidase活性上昇もアスタキサンチン群で抑制された。はい腹筋と心筋のアスタキサンチン含量は増加し、筋肉や心臓における好中球の浸潤を伴う障害増進などを含む運動による障害を減少させる 3)


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